求む!ハイレゾ化

2017年6月6日

【牧野良幸の 求む!ハイレゾ課】帝王カラヤン でもひとつだけ抜けているアルバムがありませんか?

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求む!ハイレゾ課とは……まだハイレゾ化されていない名盤や私的に思い入れのあるアルバムを日々発掘し、1日でも早いハイレゾ化をレコード会社様に対して勝手にお願いするコーナーです。

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要望番号52:ヘルベルト・フォン・カラヤン『ヴィヴァルディ:合奏協奏曲《四季》』

 

カラヤンの録音はクラシック界の“帝王”の名にふさわしく、かなりのタイトルがハイレゾ化されている。

それでも十分とは言えない。これはレコード会社がハイレゾ化を怠けているということではない。カラヤンの録音が多すぎるのである。その点ではレコード会社はキチンと仕事を進めていると思う。

しかしひとつだけ抜けているアルバムがありませんか、と言いたい。それが『ヴィヴァルディ:合奏協奏曲《四季》』だ。今回のハイレゾ要望はこのアルバムである。

これはカラヤンがベルリン・フィルハーモニーのメンバーと1972年に録音したアルバムだ。当時、イ・ムジチ合奏団の《四季》が日本で爆発的に人気だったことは、クラシックファンならご存知だろう。

そこにカラヤンがイ・ムジチに対抗して(かどうか知らないけど)《四季》を録音したのだから驚いた。かなり評判になったと思う。その一方で商業主義にも通じると批判もあった。

当時は高校一年生だった僕も、「カラヤンが《四季》を振るのは似合わない。それもベルリン・フィルのメンバーで」と呆れたものである。しかし本心は「カラヤンが《四季》を振るなら聴きたい。それもベルリン・フィルのメンバーなら」であった。

権威に弱いのかもしれないが、それよりもジャケットのデザインにヤラレタのだと思う。季節ごとに変わっていく4つのリンゴが並んだ写真はまるで名画のようだ。イ・ムジチの《四季》より断然良かった。

こうして隠れ切支丹のように、僕はカラヤンの《四季》を気にしていた。幸い、級友がこのレコードを買ったので、僕は借りて聴くことができたのだった。

時は流れ、オヤジになってから僕も中古レコードを買った。現在カラヤンのソフトは交響曲からオペラまでわりと持っているが、一番聴いているのがこの《四季》のレコードと気づいて我ながら愕然としたほどである。

今もって僕がカラヤンの《四季》をターンテーブルに乗せるのは、やはりベルリン・フィルの弦セクションによる《四季》が聴きたいからだと思う。イタリアの名曲をドイツの交響楽団の響きで聴く、そんなミスマッチを好んでいるのかもしれない。

ということでカラヤンの《四季》をぜひともハイレゾ化してほしい。その際は国内盤LPに付いていたEP盤の音源もボーナスで付けてみてはいかがか。「リハーサル風景」の音源である。これも当時は通俗的だなと思ったものであるが、今では懐かしい。

52カラヤンの四季

 

文と絵 牧野 良幸(まきの よしゆき)
イラストレーター。1958年 愛知県岡崎市生まれ。
大学卒業後、81年に上京。版画家として活動しながら雑誌のイラスト、レコード・ジャケット、絵本の仕事などをおこなう。そのいっぽうで音楽やオーディオ好きのため、雑誌やWEBに音楽エッセイを執筆中。今までの音楽遍歴を綴った本として『僕の音盤青春記/1971-1976』『同/1977-1981』(音楽出版社)『オーディオ小僧の食いのこし』(共同通信社)。2015年には念願のビートルズ本として『僕のビートルズ音盤青春記 Part1/1962-1975』『同 Part2/1976-2015 』(音楽出版社)を上梓した。
■ホームページ「マッキーJP」http://mackie.jp

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