求む!ハイレゾ化

2017年5月30日

【牧野良幸の 求む!ハイレゾ課】日本では未配信 シングルは全米1位に輝いた“ハード・ポップ”の名作

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求む!ハイレゾ課とは……まだハイレゾ化されていない名盤や私的に思い入れのあるアルバムを日々発掘し、1日でも早いハイレゾ化をレコード会社様に対して勝手にお願いするコーナーです。

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要望番号51:グランド・ファンク『アメリカン・バンド』

 

今回のハイレゾ要望は変則的である。海外の配信サイトではハイレゾ配信されているものの、国内の配信サイトでは配信されていないタイトルだ。これも要望を出しておきたいと思う。

タイトルはアメリカのハード・ロック・バンド、グランド・ファンクの『アメリカン・バンド』である。1973年の作品で、同名のシングルが彼らにとって初のチャート1位。アルバムも2位と大成功した。

このアルバムでのバンド名はグランド・ファンクであるが、どうもグランド・ファンク・レイルロードと最初のバンド名で呼びたくなるのは僕だけだろうか。71年の来日時、後楽園球場での雷雨のライヴが強烈だったせいかもしれない。

「感電死するかもしれないのに。なんて命知らずな奴らだ!」。これがグランド・ファンク・レイルロードを伝説にした。こういうのにロック小僧は弱い。僕の中でグランド・ファンク・レイルロードは、レッド・ツェッペリンやディープ・パープル以上に、たくましいハード・ロック・バンドになったのである。

しかしグランド・ファンクと改名したあと、73年にリリースしたシングル「アメリカン・バンド」はそんなイメージを覆すものであった。プロデューサーにトッド・ラングレンを迎えて、ポップになったのである。“ハード・ポップ”ってメチャかっこいいのだ。

高校一年生の僕も「アメリカン・バンド」にノックアウト。LPで『アメリカン・バンド』が発売されるや買ってしまった。ジャケットはシンプルなゴールド。そこにバンド名とタイトルがあるだけ。まさに『アメリカン・バンド』にピッタリのデザインだ。記憶ではレコード盤の色もゴールドと宣伝されていたと思うが、取り出してみるとイエローであった。

レコードの色はともかく、『アメリカン・バンド』は胸躍るアルバムであった。今思えば、ポップ系のトッド・ラングレンが硬派のハード・ロックに、よく甘美な味を注入できたものだなあと感心する。それだけに『アメリカン・バンド』は酸いも甘いもそなえた名作になったのだろう。

もうひとつハイレゾ要望が許されるなら、続くアルバム『Shinin’ On』を加えておこう。「アメリカン・バンド」以上にポップな「ロコモーション」を収録。ジェリー・ゴーフィン & キャロル・キングによるオールディーズのカヴァーだ。これもグランド・ファンク・レイルロードの……、もといグランド・ファンクの名作だ。

51グランド・ファンク

 

文と絵 牧野 良幸(まきの よしゆき)
イラストレーター。1958年 愛知県岡崎市生まれ。
大学卒業後、81年に上京。版画家として活動しながら雑誌のイラスト、レコード・ジャケット、絵本の仕事などをおこなう。そのいっぽうで音楽やオーディオ好きのため、雑誌やWEBに音楽エッセイを執筆中。今までの音楽遍歴を綴った本として『僕の音盤青春記/1971-1976』『同/1977-1981』(音楽出版社)『オーディオ小僧の食いのこし』(共同通信社)。2015年には念願のビートルズ本として『僕のビートルズ音盤青春記 Part1/1962-1975』『同 Part2/1976-2015 』(音楽出版社)を上梓した。
■ホームページ「マッキーJP」http://mackie.jp

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