求む!ハイレゾ化

2017年3月21日

【牧野良幸の 求む!ハイレゾ課】デジタル・シンセ大流行の80年代プログレ・シーンに咲いた一輪

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求む!ハイレゾ課とは……まだハイレゾ化されていない名盤や私的に思い入れのあるアルバムを日々発掘し、1日でも早いハイレゾ化をレコード会社様に対して勝手にお願いするコーナーです。

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要望番号41:アンダーソン、ブラッフォード、ウェイクマン、ハウ『閃光』

 

今回のハイレゾ希望は『閃光』である。『閃光』は、元イエスのジョン・アンダーソン、ビル・ブラッフォード、リック・ウェイクマン、スティーヴ・ハウによって結成されたバンド、その名もアンダーソン・ブラッフォード・ウェイクマン・ハウのアルバムだ。本当はアルバムタイトルも原題は『Anderson, Bruford, Wakeman, Howe』なのだから、ややこしいというかシンプルだ。でもここでは邦題の『閃光』と書くことにする。

当時はベースのクリス・スクワイアが率いるバンドが“イエス”と名乗ることができたので、彼らはファミリー名を並べただけのバンド名にした。しかし『閃光』は本家よりもイエスらしいアルバムとして当時評判になったと思う。「ヴォーカルをジョン・アンダーソンがとれば、それがイエスである」と乱暴に考えている僕でさえ『閃光』は演奏そのものがイエスを思わせた。

このアルバムが発売になったのは1989年だ。プログレ・バンドはとっくに絶滅し、生き残っているとしても、もはやプログレではなく別の音楽をしていた。そんな音楽シーンのなかで、『閃光』というプログレッシブ・ロックのアルバムが現われたのだった。

時はヤマハ、ローランド、コルグなどのデジタル・シンセが大流行。アマチュアでさえシンセサイザーやサンプラーを駆使して音楽を作ることができる時代だった。そんな時代だったからこそ『閃光』が受け入れられたとも言える。というのも『閃光』は70年代のプログレ・サウンドではなく、当時最新のデジタル・シンセを惜しげもなく使った80年代風のプログレだったのだから。

それにしてもジョン・アンダーソンのヴォーカルはやはりいい。ジョン・アンダーソンの声だけは70年代と変わらず、心に響く歌声だった。『閃光』を聴いたら、これからは本家イエスのことは忘れてアンダーソン・ブラッフォード・ウェイクマン・ハウでいこうと期待を高めたものである。

が、あろうことかその後、メンバーはクリス・スクワイア率いるバンドと合流して、イエスとなりアルバムを作ってしまった。結局このメンバーでのアルバムは『閃光』1枚で終わる。

ということで80年代のプログレ・シーン(そんなものがあればの話だが)に咲いた一輪、『閃光』のハイレゾ化を要望したい。現在イエス関連のアルバムは活況だ。ほとんどがハイレゾで出ていると思う。SACDも出ているし、スティーヴン・ウィルソン制作によるサラウンド収録のBlu-ray Audioも出ている。

そんななかで『閃光』だけはハイレゾもパッケージソフトの高音質盤も出ていない。オリジナルCDの音質は、いかにも80年代らしいデジタル丸出しの音。それが当時のシンセサイザーの雰囲気を伝えていいのであるが、それを消さぬ程度に(ですよ)ハイレゾでちょっとばかり高音質化してほしいなあと思うのである。

41閃光

 

文と絵 牧野 良幸(まきの よしゆき)
イラストレーター。1958年 愛知県岡崎市生まれ。
大学卒業後、81年に上京。版画家として活動しながら雑誌のイラスト、レコード・ジャケット、絵本の仕事などをおこなう。そのいっぽうで音楽やオーディオ好きのため、雑誌やWEBに音楽エッセイを執筆中。今までの音楽遍歴を綴った本として『僕の音盤青春記/1971-1976』『同/1977-1981』(音楽出版社)『オーディオ小僧の食いのこし』(共同通信社)。2015年には念願のビートルズ本として『僕のビートルズ音盤青春記 Part1/1962-1975』『同 Part2/1976-2015 』(音楽出版社)を上梓した。
■ホームページ「マッキーJP」http://mackie.jp

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