インタビュー

2017年3月9日

野球中継でおなじみ「六三四」のピアノバージョンも メジャー3枚目は「ハイブリッドなアルバムで、攻めた作品」

Theme Tag


Main_ADAM_at
ADAM at は、浜松出身の玉田大悟(p)が中心となった、固定のドラム、ベース、ギターがいないインストセッションバンド。2015年のメジャーデビュー後は、ライブやフェスを中心に活動し、各方面から注目されている。今年3年連続でNHKプロ野球中継テーマ曲に「六三四」が決まったほか、2月20日からはキユーピーマヨネーズのCM曲がオンエア中だ。

そんなADAM atの新作は、メジャー3枚目となるアルバム『Echo Night』。今回が初となるハイレゾ音源も同時リリースした。「録音代もいつもと同じというので……」と笑う玉田大悟だが、よりADAM atサウンドがクリアに聴こえるのは言うまでもない。そんな玉田大悟にニューアルバムの聴きどころを聞いた。

10名のミュージシャンが参加した意欲作

今回のアルバムは、玉田自身が「ハイブリッドなアルバムで、攻めた作品」と語るように、様々なアプローチとサウンドが楽しめる1枚となっている。その制作過程では「今まで一緒にやってきたメンバーでやるべきなのか、ガラッと変えるか悩みましたね」という。そんな時、東京ジャズの海外公演として出演したシンガポールで、現地のミュージシャンとの出会いが転機になった。

「僕とギターだけ行って、現地からベースとドラムに参加してもらったんですけど、すごくうまくて、ぼくが普段弾けないようなフレーズを引き出してくれるような感じがあって。それからいろんな人とやっていきたいな、と思い始めましたね」

新作のために声をかけたミュージシャンは総勢10名。カルメラ、JABBERLOOP、DALLAX、I-RabBitsなど様々なジャンルで活動するバンドの気心知れたメンバーたちだ。いざレコーディングを始めるにあたっては、ピアノだけ録音した音源を渡したのみで、「リハーサルまでどんなアレンジになるのかドキドキだった」と笑いながら振り返る。

「脚色に関しては、僕は“餅は餅屋”って思っているんです。曲のイメージは伝えますが、それ以上のことは各パートの方々のほうが優れていますから。カルメラのヒデヤくん(b)が『こう弾いたほうが、よりジャズっぽくなりますよ』とアドバイスをくれたり。彼はバンドマンでありながらも『玉田さんが弾きやすいようにするのが、僕らの仕事』といってくれてありがたかったし、やりやすかったですね」

ADAM at 節と呼ばれるフレーズのこだわりとセッションならではのサウンド

アルバムはジャズのスイングやグルーブ感、ロックなど、セッションバンドならではといえる、多彩なサウンドが詰まっている。

「インストなんでね、メリハリがないとツライんですよ(笑)。いままで入れたくても入れられなかった部分もあって。ジャズにならないとか。下手にアレンジするのはもったいないなとか。ストックしてきた曲が、適材適所でレコーディングできたことはありがたいですよね。3枚目ということもあって、今回はジャズっぽさも入れたくてカルメラやJABBERLOOPに声を掛けたんですけど、もちろん『GO TO THE LAKE』や『Arabesque』みたいな曲を残さないと、ADAM at らしさがないというか、誰の曲だかわからなくなっちゃいますから。
1枚目、2枚目では、いろんな人たちに『ADAM at ぽいよね』と言われるフレーズがずっとほしくて、ひたすら僕らしいフレーズの『ズッタタズッタ…』をしつこく押そうとしていたんです。たとえば、オンエア中のキユーピーマヨネーズのCMもそう。オンエアではクレジットがないので、テレビで流れたときにわかってもらえるようにしたくて。

けど、今回はさすがにバリエーションを入れないとお客さんも飽きてしまうし、それしかできないんじゃないかというギモンも出てくる。今までのお客さんに満足してもらいつつも、僕のことを知らない人にも好きになってほしいので、バラエティーに富んだ、ハイブリッドなアルバムになったと思います。

今回は、いろんなことに挑戦したと思うんですよ。メンバーを変えたり、タイトル曲が1曲目じゃなかったり。どうしても3枚目はダレてしまいがちですが、メンバーをたくさんいれることで、そのダレを解消した感じもどっかであると思うんです。ずっとセッションバンドといっててよかったなと(笑)」

 

ベースとドラムはそれぞれの競演が聴きどころだが、ギターだけは橋本孝太が担っている。 ADAM at がメジャーデビューして以来、ライブも含め絶大な信頼を置いているギタリストだ。

「リズムももちろん大事なんですけど、裏メロディーっていうのかな。僕がピアノで弾いたメロディーを、より引き立たせるためのギターのソロなんかもあって。素晴らしいギターソロを弾かれるんですよ。僕のメロディーは、歌いやすさを意識しているんですけど、自由に歌いやすいギターソロを弾いてくれるんで、曲全体にずっといいメロディーが詰まっているのは、孝太くんのおかげですね」

楽曲は、曲のイメージから弾いてもらいたいメンバーを当てはめていったという。
「『Rosetta』『EVE』『My Fairy Day』は、ジャズの要素を取り入れたかったので、カルメラのえがっちょさん(ds)とヒデヤくんに任せたんです。バンドのリズム隊の強さがあって、結果、いろんなアプローチを見せてくれましたね。

特に『My Fairy Day』は、1950~60年代のモノクロ映画のイメージだったので、えがっちょさんは『ドラムは、はねない方がいいですかね』と提案してくれて。後半のシンバルについても、本当にシャッフルにしてしまうと ADAM at っぽくなくなると思ったんでしょうね。だからロック色を残しつつ、叩いてくれました。

ヒデヤくんは、バンドでいろんな人のバックもやっているから、自分の癖を出してもしょうがないと理解している上で、『ベースソロ、もうちょっともらっていいですか?』といってくれたり。ここではウッドベースを使っているんですが、参加した3曲で使用ベースを変えているんですよ。

カルメラとは対バンが多いですし、お互いをよく見てきている。だから今回もカルメラ風にアレンジすることもできるんでしょうけど、これは僕がいつもやっているようなアレンジなんだろうと、やってくれている気がします」

そのほかにもリーダー曲「Echo Night」は、I-RabBits のユウダイ(ds)によるものだが、「この12曲の中でパワフルで、一番難しいドラミング。今回のメンバーの中だと、誰も叩けないと思う」と語る。

いろんなミュージシャンが間接的とはいえ競演することでメリハリがついた12曲が、実に耳の心地よくなじんでくるのは、「1本の映画のような流れにしたかったから」という玉田の狙いがあるからだろう。

「1曲目は、実はアルバムのイントロなんです。今までのアルバムでもそうだったけれど、アルバムにはイントロがないとダメなんです。ただ、イントロと書くとみんな聞かないんですよ(笑)。だから『韻と楼』。飛ばすほど適当に作ってもないし、短い曲とはいえ2曲目『GO TO THE LAKE』と同じキーを使っているので、2曲目のイントロのようにも聞こえるんですよね。そこから敵と戦ったり、ラブシーンとか山あり谷ありがあって、エンドロールの『My Fairy Day』まで続く感じ」

遊び心も忘れずに

「韻と楼」を始め、文字遊びで表わす曲がADAM atには少なからずあるが、名画『マイ・フェア・レディ』からついた「My Fairy Day」のほか、「Tall Sun」もそのひとつ。
「日高央さんのことです(笑)。以前モーション・ブルー・ヨコハマでご一緒した時に、アンコールセッションで披露したんです。曲を作ったとき央さんの意味を込めてタイトルは「Tall」だったんですど、呼び捨ては良くないと「Sun」をつけて。そうしたら、「日高」にもなっちゃって(笑)」

ダジャレでついた楽曲だが、清々しいメロディーが続く明るい曲だ。ライブでは日高央が歌詞をつけ披露されたが、アルバムはインストのみの収録となった。
「いずれ歌詞ありバージョンも音源化させたいですね。日高さんが忘れないうちに(笑)」

そしてアルバム最後の曲はピアノバージョンの「六三四」が収録されている。
「88バージョンは、いつもボーナストラック的にいれているんですが、『六三四』にしたのは、アコースティックライブのときに弾いたら意外によくて。お客さんの反応もよくてアルバム化してほしいとリクエストもあったからなんです」

レコ発ツアーは、ライブならではのアレンジを楽しんでほしい

4月からはアルバムを引っさげた、レコ発ワンマンツアーが始まる。TRI4THの伊藤隆郎(ds)とアルバムにも参加したJABBERLOOPの永田雄樹(b)がサポート予定だ。

「サポートのメンバーは、アルバム曲を覚えないといけないので大変だけど、臨機応変にやってくれると信じています(笑)。プレッシャーはかけてますけど(笑)。

基本はアルバム通りに演奏するんですけど、ジャズマンならではのいろんなアレンジをしていく予定です。それがお客さんからすれば楽しかったり、ライブのスペシャル感がすごく出ると思うんですよね。永田くんもいくつかアルバムで弾いていますが、それ以外の曲は原曲に忠実だけど、前2枚のアルバムからの曲は思いっきり遊んじゃおうというか。その違いも楽しんでもらいたいです。

アルバムツアーなので本当はレコーディングしたメンバーでやるのが一番いいんですど、さすがにみんなを連れていくわけにもいかないので(笑)。いつか、メンバー全員を集めてアルバムを再現するのはいいのかもしれないですね(笑)」

NHKのプロ野球中継で全国区になった「六三四」や、バラエティー番組でBGMに使われて ADAM at を知ったというファンも少なくない。「初めてライブハウスにきたと言ってくれてありがたいですね」と、はにかむ。「バリエーションがあって、聴きどころ、踊りどころがあるアルバム」の『Echo Night』の全貌が披露されるのはもうすぐだ(文中敬称略)。

 

(取材・文/太田智子)

 

adamat_echonight

ADAM at『Echo Night』ビクターエンタテインメント(DVDつきの初回盤〈VIZL-1106〉2700円[税抜]、通常版〈VICL-64712〉2200円[税抜]もあり)。配信ファイル形式:96kHz/24bit  WAV/flac 価格:3240円(税込)。VICTOR STUDIO HD-Music.のページ

e-onkyo_logo

のページへ

mora_logo

のページへ

 

関連記事

8

【e-onkyo ハイレゾ音源 売れ筋ランキング】ジャミロクワイ7年ぶりの新作が登場、ウィリアムス浩子は3作ランクイン!(4月21日〜4月27日)

2017年4月28日

INTHEDARK_thumb

伸び伸びとした王者のアメリカンロック!

2017年4月26日

46渡辺真知子_thumb

【牧野良幸の 求む!ハイレゾ課】まさか忘れてる!? 「ブルー」を含む2作目の真価は怒濤のメドレーにあり!

2017年4月25日

ランキング背景0421

【e-onkyo ハイレゾ音源 売れ筋ランキング】岸田教団&THE明星ロケッツが4位にランクイン!(4月14日〜4月20日)

2017年4月21日

Book

第26巻好評発売中!

隔週刊CDつきマガジン

JAZZ VOCAL COLLECTION

BUY

牧野良幸のハイレゾのすゝめ