ポータブルプレーヤーでハイレゾ

2016年4月5日

【牧野良幸のハイレゾのすゝめ】第5回 ポータブルプレーヤーで聴く(その1)

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ハイレゾのすすめ

文と絵 牧野良幸

CDに代わりハイレゾを聴く、そんな新しいオーディオの楽しみ方が始まっている。しかしハイレゾとはいったいどんなものか分からない、という方もまだまだ多いだろう。この「ハイレゾのすゝめ」を読んで、どうかあなたらしい極上のハイレゾ・ライフを手に入れていただきたい。

【登場人物】
ナマズ所長 音楽好き、オーディオ好きのオヤジ。ハイレゾが三度のメシよりも好き。
音野ハジメ 音楽好きの20代。最近ハイレゾに興味を持ちはじめたばかり。

第5回 ポータブルプレーヤーで聴く(その1)

ナマズ所長 では入手したハイレゾを聴いてみよう。ハイレゾを聴く方法は、大きく分けて2つある。手軽に始められるのはハイレゾ対応のポータブルプレーヤーで聴く方法。もうひとつはCDのようにステレオ装置で聴く方法。

音野ハジメ 僕はまずポータブルプレーヤーで聴きたいです。どこでも聴けるし、ヘッドホンだから音量を気にしなくてもいい。

ナマズ所長 ではポータブルプレーヤーについて説明しよう。この分野は数年前にソニーがハイレゾ対応のウォークマンを発売して一気に広まった。

音野ハジメ 今ではいろいろなメーカーから機種が出てますね。

ナマズ所長 そう、入門機から上級機まで揃っている。入門機は2万円台くらいから、上級機なら40万円以上するよ(2016年3月現在)。

音野ハジメ 上級機はとても“ポータブル”な値段ではないです(笑)

ナマズ所長 上級機にはAstell&Kern(アステル&ケルン)の『AK380』というのがあって、僕もちょっと借りて聴いたことがある。DSDにネイティブ対応など音質もさることながら、作り手のセンスを感じて所有欲を非常に満足させる製品だ。これほど高価な『AK380』でさえ、発売されるや下位機種から買い替えた人が多いというから人気が伺えるね。

音野ハジメ 僕は入門機から始めます。ところで所長が使っているポータブルプレーヤーは何ですか?

ナマズ所長 僕はソニーの『NW-ZX1』を使っている。中級機にあたるかな。さっき書いたソニーがハイレゾにのり出した時に、ウォークマンのフラッグシップ・モデルとして登場した製品だ。現在は後継機種でSDカードが挿入できる『NW-ZX2』に進化している。機種に多少の違いはあると思うが、今回は『NW-ZX1』にそって説明するから参考にしてほしい(イラストは『NW-ZX2』)。

 

05ポータブルプレーヤーで聴く

 

音野ハジメ ではご説明願います。

ナマズ所長 まずは購入したハイレゾをポータブルプレーヤーに転送しなくてはならない。前回パソコンでハイレゾをダウンロードしたね。それをUSB経由でポータブルプレーヤーに転送する。

音野ハジメ それはスマートフォンをパソコンに接続するのと同じ要領ですね。

ナマズ所長 そう、早い話ポータブルプレーヤーがUSBストレージとして接続されるわけだ。前回、言い忘れたけれど、ハイレゾ音源の購入はこのポータブルプレーヤー自体でもできる。というのも『NW-ZX1』とかはAndroid OSを掲載していていて、電話こそできないけれど、早い話スマートフォンなんだよね。

音野ハジメ それでグーグル・マップとかも入っているわけですね!

ナマズ所長 話を戻そう。パソコンのデスクトップに「WALKMAN」というアイコンが表示される。それを開くと「Music」というフォルダがあるから、そこにハイレゾ音源をコピーしてやればいい。『NW-ZX1』の場合、ドラッグ&ドロップするだけで転送ができるアプリ「Content Transfer」が用意されている。これならもっと簡単だ。やってごらん。

音野ハジメ ウィンドウにフォルダをドラッグ&ドロップするだけで、収録曲が次々と転送されていきます。手軽でいいですね。

ナマズ所長 これで転送終了。『NW-ZX1』をパソコンからはずしてチェックしてみよう。聴きたい曲は「アーティスト」「アルバム」「フォルダ」などから自由にアクセスできる。

音野ハジメ 出た出た。所長が言ったように、flacはカバーアートが表示されていいですね。

ナマズ所長 だろ。ジャケット・データのないWAV音源がどうなるかと言えば、このとおり。『NW-ZX1』ではブルーの四角となる。

音野ハジメ せっかくのハイレゾもこれでは“ブルーな気分”です(笑)

ナマズ所長 ははは、でも大丈夫。『NW-ZX1』では任意の画像をカバーアートに割当てられるんだ。だからWAVの音源でもジャケット画像を自分で割り当ててやればいい。たいがいの機種にこういう機能はついているんじゃないかな。

音野ハジメ なんだ、ではflacではなくてもいいわけだ。

ナマズ所長 文字で書くのは簡単だけど、いざ始めると画像を割り当てる作業は面倒なものでね。それで僕は画像データの入っているflacがいいなと言ったわけだよ。

音野ハジメ ともかくこれで準備完了ですね。僕は通勤中にポータブルプレーヤーを聴くつもりですから楽しみです。ハイレゾの音に我を忘れて駅を乗り越すかもしれません(笑)

ナマズ所長 ははは。でもキミが降りる駅を忘れるほどの圧倒的な音、というのはどうかな。

音野ハジメ 所長は1回目の講義で「ハイレゾ(192kHz/24bit)はCDの約6.5倍の情報量」と言ったじゃないですか。なら「6.5倍」のいい音が耳に飛び込んでくるのではないのですか?

ナマズ所長 それはデータ上の話で、聴いた実感上は6.5倍なんてとてもないよ。

音野ハジメ なんか、約束が違うなあ……。

ナマズ所長 例えるとこういうことなんだ。オリンピックに出るアスリートは記録を伸ばすことに日々苦心しているよね。マラソン選手ならたった何秒の記録を縮めるのに本当に苦労している。つまりマラソン選手にとっての何秒が“高記録”であるように、オーディオではハイレゾのちょっとした音の進化が“高音質”となるわけさ。

音野ハジメ 分かります。ある程度のレベルに達した者がさらに進化していく時、その進化のスピードは一歩、二歩といったものにならざるをえない。

ナマズ所長 そのとおり。まあハイレゾの“高音質”は一歩二歩ではなく、10歩くらいはいっていると思うけどネ。ただ進化の度合いはともかくとして、ハイレゾを聴いているとこれまでのデジタル音の限界を越えたカイカンを感じるんだ。そこが例えようもなく、いいんだなあ。だから夢中になるのさ。

音野ハジメ 分かりました。僕もそのカイカンを求めて聴いてみます。そうなると、やっぱり駅を乗り過ごしてしまいそうです(笑)

ナマズ所長 だね。では次回は実際に聴いてみるか。

音野ハジメ そうしましょう!

【牧野良幸のハイレゾのすゝめ】第6回は ポータブルプレーヤーで聴く(その2) です!

文と絵 牧野 良幸(まきの よしゆき)
イラストレーター。1958年 愛知県岡崎市生まれ。
大学卒業後、81年に上京。版画家として活動しながら雑誌のイラスト、レコード・ジャケット、絵本の仕事などをおこなう。そのいっぽうで音楽やオーディオ好きのため、雑誌やWEBに音楽エッセイを執筆中。今までの音楽遍歴を綴った本として『僕の音盤青春記/1971-1976』『同/1977-1981』(音楽出版社)『オーディオ小僧の食いのこし』(共同通信社)。2015年には念願のビートルズ本として『僕のビートルズ音盤青春記 Part1/1962-1975』『同 Part2/1976-2015 』(音楽出版社)を上梓した。
■ホームページ「マッキーJP」http://mackie.jp

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