3分でわかるハイレゾ

2016年3月1日

【牧野良幸のハイレゾのすゝめ】第1回 ハイレゾとは? bitとkHzの話

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ハイレゾのすすめ

文と絵 牧野良幸

CDに代わりハイレゾを聴く、そんな新しいオーディオの楽しみ方が始まっている。しかしハイレゾとはいったいどんなものか分からない、という方もまだまだ多いだろう。この「ハイレゾのすゝめ」を読んで、どうかあなたらしい極上のハイレゾ・ライフを手に入れていただきたい。

【登場人物】
ナマズ所長 音楽好き、オーディオ好きのオヤジ。ハイレゾが三度のメシよりも好き。
音野ハジメ 音楽好きの20代。最近ハイレゾに興味を持ちはじめたばかり。

第1回 ハイレゾとは? bitとkHzの話

音野ハジメ こんにちは、今日はハイレゾについて伺います。

ナマズ所長 私が君にハイレゾの事を教える所長だ。高音質には目がないオーディオマニア。また高音質でいい音楽を聴きたい音楽マニアでもある、えへん。しっかりと勉強するように。

音野ハジメ ちょっといかがわしいけど、いいでしょう。さっそくハイレゾについて教えてください。最近、ハイレゾ、ハイレゾと世の中が騒がしいのです。街ではオーディオマニアではない女の子が口にしたり、大新聞まで記事にしています。僕も気になってしかたがありません。

ナマズ所長 君は現在、音楽を何で聴くのかな?

音野ハジメ CDやMP3などの圧縮音源です。最近は圧縮音源のほうが多いかな。スマートフォンに沢山入るから音楽三昧してますよ。

ナマズ所長 僕に言わせれば、そういうのは音楽三昧とは言えないね。MP3のような圧縮音源はデータは小さいけれども、それだけ元の情報量をカットしているから、音質がよくない。

音野ハジメ それくらいは知ってます。でも音楽は楽しめますよ。それでいいじゃないですか。それにCDも聴いているのですから、文句はないでしょう?

ナマズ所長 確かにCDは登場以来、音楽ソフトの主流だった。しかしハイレゾの登場で、CD以上の音質で音楽が聴けるようになった。そういう極上の音質で聴く音楽がどんなに素晴らしいか。それをキミに知ってもらいたいのだなあ。

音野ハジメ ええ、僕もその気持ちがあるから、こうしてやってきたのです。でもハイレゾはそんなに、いい音なんですか?

ナマズ所長 ハイレゾはCDとくらべて音の柔らかさ、厚み、繊細さ、そして空気感などが優れているんだ。

音野ハジメ でもどちらもデジタルでしょう。どうしてハイレゾのほうが音がいいのですか? 

ナマズ所長 デジタルとは切れ目なく存在するアナログ音を一定単位に区切って情報化することだ。デジタル・オーディオは「kHz(キロヘルツ)」と「bit(ビット)」であらわされる。

kHzはサンプリング周波数のことで、一定時間ごとに刻む単位だ。CDの44.1kHzは1秒間に44,100回ごと、ハイレゾは96kHzなら1秒間に96,000回ごとに記録する。数値が大きいほどより高い音域が再現できる。じっさいの音としては繊細さや透明感が増す感じがするね。

bitは、信号レベル(音量差)を刻む単位だ。CDの16bitが音量を1段階で記録するとしたら、ハイレゾの24bitは256段階で記録する。両者を10進法やダイナミックレンジに置き換えて説明することもできるけど、シロウトには今ひとつピンとこないから、24bitを16bitより大きいコップに例えたり、入っている料理は同じでも底が深い弁当箱などに例えたりしたほうが分かりやすいかもしれない。とにかく24bitは16bitよりも大きい器な分だけ解像度が高い、よって繊細な音表現ができる。

音野ハジメ それってテレビのフルHDとかと同じようなものですかね。俳優の皺や髪の毛の1本まで繊細に見えると評判になりました。僕も量販店で実際に見ましたけど凄かったなあ。

ナマズ所長 そうそう、ハイレゾはそのオーディオ版だと思えばいい。もしハイレゾの音を絵にすることができたら、細部まで繊細な絵が現れることになるだろう。ということで、こんなイラストを用意した。見てくれ。

SUSUME_01

音野ハジメ なるほど、確かにハイレゾのほうが音がよさそうなのがわかります。

ナマズ所長 ちなみにハイレゾの192kHz/24bitだと、CD(16bit/44.1kHz)の約6.5倍の情報量と言われている。この差は大きいね。

音野ハジメ じゃあ、CDも192kHz/24bitにすればいいじゃないですか?

ナマズ所長 それがCDは規格で16bit/44.1kHzしかできない。だからCDは、たとえオリジナルの音を24bitで制作したとしても16bitに落として収録しているんだ。

音野ハジメ それはクオリティ・ダウンですね。しかしハイレゾのほうでも、数値はキリがないでしょう。たとえば96bit/384kHzなんて、どんな音になるんですか?

ナマズ所長 いくらハイレゾでも96bitなんてないよ(笑) 現在手に入るハイレゾは24bitが一般的だ。だから「ハイレゾ=24bit」と思ってくれていい(注・他に録音現場では32bitなどもあるらしい。また1bitのDSDというハイレゾもある。DSDはあとで説明する)。

音野ハジメ そうか、それでみんな「24ビット、24ビット」と言っているんですね。

ナマズ所長 だけど「kHz」のほうの数字はいろいろある。下は「44.1kHz」「48kHz」から「88.2kHz」「96kHz」「192kHz」などとさまざまだ。

音野ハジメ 先ほど「kHzの数値が大きいほど、音の繊細さや透明感が増す」と言っていましたね。ならどうしてみんな「192kHz」にしないのですか?

ナマズ所長 それは制作者側の、作業工程や音に対する考えがあるのだろうよ。現実的には96kHzや192kHzで配信されることが多いかな。

音野ハジメ じゃあハイレゾでも44.1kHzはパスしよう。CDと同じ44.1kHzというのは、いかにもハイレゾにふさわしくないスペックですもんね。

ナマズ所長 それが違うのだなあ。ここまで話してなんだけど、実は「kHzの数値が高いほど音質がいい」とは一概に言えないんだ。たとえばビートルズのハイレゾ(『ザ・ビートルズ USB』)は44.1kHz/24bitという低いスペックなのにパワフルでアナログ・ライクな音が聴ける。もともとの録音のクオリティやマスタリングの技術が高いのであれば44.1kHzでも問題ないと思う。まずは24bitであるだけで恩恵は大きいと考えてるよ。個人的にはkHzにはそんなにこだわっていない。

音野ハジメ 結局、数値だけでハイレゾの良し悪しは分からない、ということですね。そこも含めてハイレゾは面白いと。

ナマズ所長 おや、わかってきたじゃないか。それが今回のまとめダネ。

音野ハジメ 次回もよろしくお願いします。

【牧野良幸のハイレゾのすゝめ】第2回は ハイレゾの種類(その1)FlacとWAV です!
文と絵 牧野 良幸(まきの よしゆき)
イラストレーター。1958年 愛知県岡崎市生まれ。
大学卒業後、81年に上京。版画家として活動しながら雑誌のイラスト、レコード・ジャケット、絵本の仕事などをおこなう。そのいっぽうで音楽やオーディオ好きのため、雑誌やWEBに音楽エッセイを執筆中。今までの音楽遍歴を綴った本として『僕の音盤青春記/1971-1976』『同/1977-1981』(音楽出版社)『オーディオ小僧の食いのこし』(共同通信社)。2015年には念願のビートルズ本として『僕のビートルズ音盤青春記 Part1/1962-1975』『同 Part2/1976-2015 』(音楽出版社)を上梓した。
■ホームページ「マッキーJP」http://mackie.jp

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