3分でわかるハイレゾ

2016年3月22日

【牧野良幸のハイレゾのすゝめ】第3回 ハイレゾの種類(その2)DSD(DSF)

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ハイレゾのすすめ

文と絵 牧野良幸

CDに代わりハイレゾを聴く、そんな新しいオーディオの楽しみ方が始まっている。しかしハイレゾとはいったいどんなものか分からない、という方もまだまだ多いだろう。この「ハイレゾのすゝめ」を読んで、どうかあなたらしい極上のハイレゾ・ライフを手に入れていただきたい。

【登場人物】
ナマズ所長 音楽好き、オーディオ好きのオヤジ。ハイレゾが三度のメシよりも好き。
音野ハジメ 音楽好きの20代。最近ハイレゾに興味を持ちはじめたばかり。

第3回 ハイレゾの種類(その2)DSD(DSF)

ナマズ所長 前回はflacとWAVについて説明した。今回はDSDについて説明しよう。

音野ハジメ お願いします。僕もナマズ所長ほどではないにしろ、はやく“ハイレゾの海”を泳ぎたいですので。

ナマズ所長 ははは。ではDSDの説明だ。DSDの音源はファイル名はDSFとなるが、ここではDSDという名前で説明していく。

音野ハジメ DSDとは何ですか?

ナマズ所長 DSDとは「ダイレクト・ストリーム・デジタル」の略だ。そもそもはCDのPCM方式(flacやWAVも同様)とは違う発想で生まれた次世代デジタル技術で、もう16年以上も前にSACDに採用されてオーディオ・マニアの間では有名な方式だった。

音野ハジメ SACDというのは聞いたことがあります。今も発売されていますよね。なんでもCDより音がいいとか。

ナマズ所長 そう、そのSACDの音がDSD方式なんだ。いってみればDSDの音は、長い間SACDでしか聴くことができなかった。そのDSDが配信されるようになった時は、僕のようにSACDを愛していた者には事件だったよ。「パソコンでもDSDの音が聴けるなんて!」とね。

音野ハジメ ちょっとした特権意識が崩れたわけですね(笑)

ナマズ所長 まあね。逆に言えば、それくらいDSDの配信はハイレゾの世界にとって華々しい出来事だったというわけさ。ちょうどハイレゾの知名度が爆発的に広まった時期と重なったからなおさらだ。

音野ハジメ ということは「松竹梅」でいったら、DSDが「松」で、24bitのflacやWAVが「竹」、16bitのCDが「梅」ということですかね(笑)

ナマズ所長 キミはそういう所は頭が回るねえ。でもCDの「梅」はともかく、DSDを「松」だなんて、僕には……。

音野ハジメ しかし所長の顔は明らかにDSDが「松」と言っていますよ(笑)

ナマズ所長 バレたか。確かに同じ音楽でflac、WAV、DSDの3つの配信があるのなら、僕は迷わずDSDを選ぶ。でもこれは僕の個人的意見だ。人によってはPCM系が「松」の人もいるだろう。

音野ハジメ それほどまでに所長を虜にした「松」…じゃなくてDSDはどんな音なんですか?

ナマズ所長 DSDの音は温かみがあるのだな。またはコクがある、というか。CDもそうだが、flac、WAVといったPCM系の音はクリアでいいのだけれど、どこか無菌室のような冷たい印象がある。まあ、いい音源だと24bitのPCMでも熱い音楽が再生されて気にならないけれど、一般的にはそんな印象だ。

音野ハジメ それがDSDでは無菌室ではないと。

ナマズ所長 そう、言ってみれば昔聴いていたアナログ・レコードのような厚味のある音、音楽として生命力を持った音に思うのだな。昔のLPのようにアナログ・ライクなんだ。

音野ハジメ 出た、オヤジが好きなアナログ・レコード(笑)

ナマズ所長 誤解しているようだが、アナログ・レコードはノスタルジーなオーディオじゃないよ。21世紀の今だってハイレゾやSACDと張り合うほどに高音質なんだ。そのアナログ・レコードのような音がDSDで聴ける、それが僕みたいな音楽好きにはうれしいのだな。

とはいえ、いくらDSDでも元の音源のクオリティーに左右される。一般にDSDの真価が発揮されるのは60〜70年代のアナログ録音とか、最初からDSD方式で録音されている「DSDレコーディング」のタイトルなどだな。

03DSD

音野ハジメ それだけの音が出るDSDとは、どんな仕組みなのですか?

ナマズ所長 DSDは24bitのPCM方式と異って1bitだ。音声信号の大小は密度(濃淡)で表現する。そこがミソかな。PCM方式がさまざまなフィルターを通して作り出すのにたいして、DSDはその仕組みも単純、という説明も聞いたなあ。

音野ハジメ …よく分かりませんが。

ナマズ所長 実は僕もよく分からない(笑)。DSDの仕組みを理解するのは、はなはだ難しいね。

音野ハジメ ふふ、仕組みがよく分からないのに聴いているわけですね。

ナマズ所長 (ムッとして)そのとおりだ。その意味ではCDの仕組みだって分からずに聴いてきたよ。中学生の時から浴びるほど聴いているビートルズのLPだって、どうして溝が音になるか分からない。小学生から見ているテレビだってどうして映るのか…

音野ハジメ わかりました(笑)。話を続けてください。

ナマズ所長 言いたいのはね、仕組みは分かりにくくても、厚味があるとか、柔らかいといった音の特徴はよく分かるということだ。だからDSDが好きになったのだよ。

音野ハジメ それだけいい音なのでしたら、どうして配信が全部DSDにならないのでしょうか? 前回、所長はDSDの配信はそんなに多くないと言っていましたが。

ナマズ所長 そうだね。ハイレゾの配信サイトもDSDをプッシュしていて頑張っているのだが、いかんせんメジャー・レーベルがDSDで音源を出さないね。

音野ハジメ とりあえず業界標準のflacで出しておけばいいだろう、と。

ナマズ所長 そうかもしれない。しかしよりハイエンドをめざすレーベルからは、DSDは着実に配信されているよ。DSDにこだわりたい、という作り手の姿勢が伺えるよね。あとメジャー・レーベルでもSACDの開発元でもあるソニーは自社タイトルをDSDで配信することが多いね。クラシックなどに多い。

音野ハジメ 所長の印象に残るDSDのタイトルを上げてもらえますか。

ナマズ所長 最近では、moraから配信されているロジャー・ウォーターズの『Amused to Death』のDSDだね。これはflacの「96kHz/24bit、192kHz/24bit」でも配信されているけれど、DSD(DSF)の「2.8MHz/1bit」で聴くと“濃厚な音楽”になる。プログレ度満点だよ。

音野ハジメ 僕もハイレゾを聴くときはDSDを聴いてみます。

ナマズ所長 そうしてくれたまえ。あとDSD(DSF)を聴くには、DSDに対応したプレーヤー、アプリ、周辺機器を使う必要がある。業界標準のflacはたいがい対応しているが、DSDでは対応機種が限られる場合がある。気をつけるように。

音野ハジメ 分かりました。

ナマズ所長 次回はこれらのハイレゾ音源の手に入れ方を教えよう。

【牧野良幸のハイレゾのすゝめ】第4回は ハイレゾ音源の手に入れ方 です!

文と絵 牧野 良幸(まきの よしゆき)
イラストレーター。1958年 愛知県岡崎市生まれ。
大学卒業後、81年に上京。版画家として活動しながら雑誌のイラスト、レコード・ジャケット、絵本の仕事などをおこなう。そのいっぽうで音楽やオーディオ好きのため、雑誌やWEBに音楽エッセイを執筆中。今までの音楽遍歴を綴った本として『僕の音盤青春記/1971-1976』『同/1977-1981』(音楽出版社)『オーディオ小僧の食いのこし』(共同通信社)。2015年には念願のビートルズ本として『僕のビートルズ音盤青春記 Part1/1962-1975』『同 Part2/1976-2015 』(音楽出版社)を上梓した。
■ホームページ「マッキーJP」http://mackie.jp

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