はじめてのハイレゾ

2016年5月16日

【牧野良幸のハイレゾのすゝめ】第10回 ネットワークオーディオで聴く(その2)

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ハイレゾのすすめ

文と絵 牧野良幸

CDに代わりハイレゾを聴く、そんな新しいオーディオの楽しみ方が始まっている。しかしハイレゾとはいったいどんなものか分からない、という方もまだまだ多いだろう。この「ハイレゾのすゝめ」を読んで、どうかあなたらしい極上のハイレゾ・ライフを手に入れていただきたい。

【登場人物】
ナマズ所長 音楽好き、オーディオ好きのオヤジ。ハイレゾが三度のメシよりも好き。
音野ハジメ 音楽好きの20代。最近ハイレゾに興味を持ちはじめたばかり。

第10回 ネットワークオーディオで聴く(その2)

音野ハジメ 前回のネットワークオーディオの続きです。パイオニアのN-50の発売でネットワークオーディオの世界が変わった、という話ですね。

ナマズ所長 そう。2011年にパイオニアからネットワークプレーヤーN-50が発売になった。驚いたのは価格なんだ。それまでLINNのDSシリーズは高くて誰でも使えるわけではなかった。それがN-50は7万円台という値段だったのだから(下位機種N-30は4万円台)。

音野ハジメ それまで高値の華だったネットワークプレーヤーが、一気に手が届く範囲になったと。

ナマズ所長 そのとおり。N-50はDSD(DSF)が再生できないものの(現在のN-70A、N-50Aは対応)、FlacやWAVは再生してくれるし、16bitや24bit音源を32bitに拡張してくれる機能付き。オーディオマニアがこれに飛びつかないはずはないよね。N-50でハイレゾを始めてみようという気になった人がたくさんいたと思う。僕なんか今日のハイレゾ人気を作った功績はN-50にあると思っている。

音野ハジメ ハイレゾはいい音だから、すぐに人気が出たと思っていましたよ。

ナマズ所長 たとえ素晴らしい技術であっても、簡単に広まるとは限らない。キミが今当たり前のように聴いているCDだって、発売当初はいっこうに広まらなかった。

音野ハジメ そうなんですか。CDは使い勝手の良さから、すぐにアナログレコードを駆逐したと聞きましたけど。

ナマズ所長 確かにそうだが、それにはキッカケが必要だった。1985年、それまで高価だったCDプレーヤーのなかで、マランツのCD-34という5万円台のプレーヤーが登場したんだ。ソニーのポータブルCDプレーヤー D-50も同じ頃4万円台で出た。

音野ハジメ その2機種が出たせいで、CDは爆発的に広まったと。

ナマズ所長 そのとおり。僕もCD-34を買って初めてCDを体験した。このようにオーディオ界にはブレイクスルーをさせる名機というものがあるのだよ。その意味でハイレゾを広めたのはパイオニアのN-50だと思うのだな。

音野ハジメ N-50、所長も欲しかったでしょう(笑)

ナマズ所長 ああ、実際買う一歩手前までいったよ。それまでパソコンをリスニングルームに置くのは生理的に好きじゃなかったからPCオーディオにはそっぽを向いていた。かといってLINNのDSシリーズは高価で買えない。でもN-50ならオーディオコンポと同じ感覚でリスニングルームに置けると思ったんだ。知り合いのオーディオマニアもN-50を買っていたなあ……。

音野ハジメ 確認ですが、N-50はネットワークプーレヤーですよね。だから前回の話に出たNASが必要となりますね。

ナマズ所長 おっとそうだった、キミもフォローが上手くなったね。N-50の接続の仕方は前回のネットワークオーディオのイラストどおりだから参考にしてほしい。

音野ハジメ 確かに前回のイラストは分かりやすいのですけれど、だからいろいろ接続しなくてはいけないことも一目瞭然で(笑)。素人からすれば、やっぱりNASとかなしでステレオに繋いでおしまい、という機械のほうが……。

ナマズ所長 NASはやってしまえばどうってことがないから、N-50を買った知人は、はやばやとネットワークオーディオを始めていたけど。でも僕もキミと同じで、N-50を買おうと決心したものの「NASかあ……」とやっぱり躊躇していた。そんな時にソニーからHAP-S1というプレーヤーが出たものだから、僕はそっちにしちゃったんだな。

音野ハジメ おやおや。その話を聞かせてください。

ナマズ所長 2013年、ついにソニーがハイレゾにのり出してきた。その画期的な製品がHAP-S1と上位機種HAP-Z1ESだ。これはNASがいらなくて、内部にハードディスクを内蔵しているプレーヤーなんだ。イラストにしたから見てくれ。

 

10ネットワークオーディオで聴くその2

 

音野ハジメ NASがいらなくて、そのままステレオに繋げればいいとは確かに便利です。

ナマズ所長 HAP-S1はDSD(DSF)も再生できるから嬉しかった。価格も7万円前後とお手頃。久し振りにソニーらしいワクワクする製品だったね。ホントは上位機種のHAP-Z1ESのほうが欲しかったけど……。

音野ハジメ それを今でも後悔していると(笑)

ナマズ所長 まあね。ただHAP-S1やHAP-Z1ESはルーターと接続されるけれども、それらはあくまでパソコンからハイレゾ音源を転送したり、スマートフォンで操作するためのものだ。その意味でこの2機種はネットワークプレーヤーではない。「HDDオーディオプレーヤーシステム」という呼び方になっている。

音野ハジメ NASとちがってネットワーク上にないから、プレーヤー内のハイレゾは他のデバイスで共有できないわけですね。

ナマズ所長 そのとおり。でもそれもシンプルでいいよ。どうも僕は「共有」というのが苦手でね(笑)。それはともかく、ソニーHAP-S1とHAP-Z1ESも、N-50と並んでハイレゾを画期的に広めた名機だと思う。

音野ハジメ ネットワークオーディオはどんどん進化していきそうですね。

ナマズ所長 そう。これからも、思いもしない形に進化していく可能性があるね。現にネットワークプレーヤーが他のオーディオと合体しているケースも多い。

音野ハジメ たとえば?

ナマズ所長 CDプレーヤーにネットワークプレーヤーの機能を内蔵しているものがある。ミニコンポにもネットワークプレーヤー機能がついているものがあるね。さらにネットワークプレーヤーの機能を内蔵しているAVアンプもある。LAN上のNASやパソコンのハイレゾを再生したり、USB端子にUSBメモリを装着すれば、収録されたハイレゾ音源を再生できる。

音野ハジメ 言い方を変えれば、最新のオーディオはネットワーク機能を内蔵して多機能化している、ということですね。

ナマズ所長 そのとおりだ。いまやハイレゾはトレンドだからね。ネットワークオーディオ機能が付加されてハイレゾが再生できる環境が増えるのは喜ばしい。

音野ハジメ ハードが増えればハイレゾを聴く人も増える。ハイレゾを聴く人が増えれば、ハイレゾのタイトルも増える。いい流れです。ハイレゾの人気は衰えそうもありませんね。

ナマズ所長 うん、考えてみれば、これだけ短期間で進化したオーディオも珍しいだろう。さて、この講義もいよいよ次回で終了だ。

音野ハジメ いよいよ最後かあ、どんな大団円が待っているか。

ナマズ所長 いや最後はサラウンドやバックアップのことなど、細々したことを書いて終わろうと。

音野ハジメ ボーナストラックのようなものですね(笑)。つきあいましょう。

【牧野良幸のハイレゾのすゝめ】第11回は最終回 ハイレゾの細々としたお話 です!
文と絵 牧野 良幸(まきの よしゆき)
イラストレーター。1958年 愛知県岡崎市生まれ。
大学卒業後、81年に上京。版画家として活動しながら雑誌のイラスト、レコード・ジャケット、絵本の仕事などをおこなう。そのいっぽうで音楽やオーディオ好きのため、雑誌やWEBに音楽エッセイを執筆中。今までの音楽遍歴を綴った本として『僕の音盤青春記/1971-1976』『同/1977-1981』(音楽出版社)『オーディオ小僧の食いのこし』(共同通信社)。2015年には念願のビートルズ本として『僕のビートルズ音盤青春記 Part1/1962-1975』『同 Part2/1976-2015 』(音楽出版社)を上梓した。
■ホームページ「マッキーJP」http://mackie.jp

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